「………森谷さん。人違いじゃ。」 「………っ、」 私が拾った雑誌を渡すと彼女はずんずんレジに向かって歩いて行った。 「大丈夫……でしたか。すみません、話してるって気付かなくて…」 綾瀬さんはすまなさそうな表情だった。 「や……大丈夫です。早いですね、今日……」 ー綾瀬直昭ですよ! 「あー、なんか早く終わっちゃって………藤ノ宮さん?」 ー芸能人だからね。あんたも見てきたらいいわ。 「………。ぐ、具合悪くなったから先に帰ります!失礼します!」