〈綾瀬目線〉 一番お気に入りだった、マフラーを藤ノ宮さんに貸した。 俺は何をしていたんだ。 「とんだチキン野郎じゃねぇかよ。はぁあ………」 藤ノ宮さんを家まで送り、帰りついた自宅で一人 ぼやいた。 待ち合わせに遅れた事は仕方ない。 仕事だったし、メールを入れたし。 晩ごはんだって藤ノ宮さんは、美味しそうに食べていた。 話だってそれなりに出来た。 が、肝心なとこが聞けてない。