*杏 side*

「杏…」

お兄ちゃんは私の手を握り、抱き寄せてくれた。
お兄ちゃんのシャンプーの匂いが香る。温かい。優しく、大切に抱き締めてくれた



「私…っ…わかんないよ… とじょー君が…考えていること… 」



東条が杏に告白をした。
杏は“好き”と言う感情が良くわからないと教えてくれた


「お兄ちゃん…なんで幼馴染みじゃダメなの…?付き合うとかわからないよ…!」

付き合うと色々できる。キスしたり、デートしたり、もちろんそれ以上のことも…。

杏は中学2年生。中学生のわりには中身はまだ小学生。

周りがどんどん色気付いてくるのに、ついていけないんだろう。


俺もまだ付き合ったことがない。 だからわからない気持ちは同じだ。

「杏…上向いて?」