『…え…あんた達…』


その言葉に俺たちは言葉が聞こえた方に振り返った。


そこには目を丸くして立っている瀬川、それから彼女の姿。




『…え……』


彼女も俺たちがなんでここにいるのか分からないみたいで、驚いた顔をしている。



『…ほら』


守に押され、俺はみんなより一歩前に出る。



『あ…えっと…俺たち全員、桜坂に合格しました』


俺がそう言うと、彼女は両手で口元を隠した。




『タケ…え……どういうこと…?』


瀬川もれ俺の言葉に動揺を隠せない様子だった。



『だーかーら!
 俺、春から桜坂高校に通うの!』


タケがそう言うと、あの強気な瀬川が涙を流した。



『それって……春がきて、高校生になっても…ずっと一緒にいられるってこと…?』


震える声で瀬川がそう言うとタケは瀬川の前まで進み、そして瀬川の頭を優しく撫でた。



『俺、頑張ったっしょ?』


タケがそう言うと瀬川は大泣きしてた。

タケも苦笑いしてたけど、春を迎えてもタケと瀬川は一緒だ。



『良之、お前もなんか言うこと…』

加藤からの言葉に振り返る。

加藤は守に口を抑えられていた。


『良之、俺たち喉渇いたからコンビニに行ってくるわ』


守はそれだけ言って、加藤を引き連れていく。

守の行動にタケも気付いたのか、タケも瀬川を連れて、そのあとを追った、


多分、みんな、気を遣ってくれたんだと思う。


俺は心の中で“サンキュ”とみんなの背中に呟く。


そして大きく深呼吸をしてから、視線を彼女に向けた。


重なり合う瞳。


『……おめでとう』


最初に言葉を発したのは彼女の方。


『…西山さんも、おめでとう』



『ありがとう…。
 でも…北陽を受験するんじゃなかったの?』



『…うん。
 でもここに変えたんだ、どうしてもここに来たかったから』



『…ここ、大学受験とかのサポートを手厚いし、いい環境にあるしね』


西山さんはそう言って俯いた。



『俺、将来のこととか、そんな理由で選んだわけじゃない』


俺の言葉に西山さんは顔を上げ、そして俺を見つめる。



『追いかけたい人がいたから、だからここを選んだんだ』