「凛……」



前にやってきた美愛が、あたしを抱きしめる。




「凜、別れたくないのなら言いなよ。
凜が後悔しちゃうよ……」

「だって…傷つけちゃう……」

「傷つけるって考えるから駄目なんだよ。
凜は何度もあたしを守ってきたでしょ?
乱馬のメンバーを守るってことは言えないの?」

「だって、あたしたちは乱馬の姫だよ。
姫は守られるんだから、守る乱馬が怪我しちゃう…」

「守る姫じゃ駄目なの?
守られるだけで、守ろうとしない姫じゃ駄目なの?」





守る姫……?





「確かに、姫だから直接喧嘩には関われないかもしれない。
だけど、姫だって守るために戦っても良いと思うよ」

「美愛……」

「少なくとも、凜は守られるだけの姫じゃないと思う。
乱馬の姫になっても、凜は私を守ってくれたじゃない」

「…………ッ」

「確かに傷つくのは怖いよ。
だけど、傷つかないよう努力は出来るんじゃないかな。
相手を突き放すってだけじゃない、努力の方法が」




あたしは思い切り美愛に抱きしめられながら泣いた。





誰かを守れる、姫になりたい。

自分も、相手も、守れる姫に。




そうしたら、

オトナに…なれるのかな?