美愛との通話を切り、あたしは眠りに落ちた。

そして、幼き頃の夢を見た。






あたし、美愛、“あの子”はいつも一緒に遊んでいた。

それと、“あの子”の男友達も。




誰よりも大人びていて、色々なことを教えてくれたお兄さん。

喧嘩ばかりしていた、双子の兄弟・キョウとダイ。

いつも同じ施設にいた女の子たちにちょっかいを出していた・チャラ。




“あの子”を含め、本当の名前は知らない。

初めて会った時に、全員自己紹介はしたけど。

名前を覚えることが出来なくて、あだ名で呼んでいた。

あたしと美愛は、全員から名前で呼ばれていたけど。

あたしたちは、お兄さん・キョウ・ダイ・チャラと呼んでいた。

だけど。

どうしても、“あの子”のあだ名は思いだせない。

顔はいつでも、思いだせるのに。




“あの子”と会った時、あたしは緊張した。

お兄さん・キョウ・ダイ・チャラと出会った時は、緊張なんてしなかったのに。

1番後に施設に入ってきた“あの子”にだけは、何故か緊張したんだ。

それはきっと…幼いながらも、あたしは“あの子”に一目惚れをしたから。

勿論その頃は小学校にも行っていなかった年齢だったから、恋というものがどんなのかわからなかったはずだ。

だけど、あたしは間違いなく、“あの子”に恋をしたんだ。




あたし・美愛・“あの子”・お兄さん・キョウ・ダイ・チャラは、いつも一緒に遊んでいた。

きっと、オトナになっても続くんだろうと思っていた。

ずっとずっと、仲良しのままでいると思っていたんだ。