「あと、驚いた共通点があったんだ」
『何何?』
「乱馬は全員ね、今の家は本当の家じゃない。
あたしたちと同じ、養子なんだって」
『そうだったの?
じゃあトウヤは養子になったから、九条院財閥の御曹司になったの?
キラも養子になったから、校長先生の孫になったの?』
「そうだと思う。
詳しいことは聞いていないけど。
ただカオリは、名字一緒なんだって」
『…どういうこと?
カオリは養子なのに、名字が同じなの?』
そうだ。
トウヤの額が気になって詳しく聞くのを忘れていたけど。
どういうことだろうか?
姫神宮なんて、聞いたことのない、珍しい名字だ。
そんなキラキラ名字があるのかって思ったほど。
『ねぇ、凛。
私たち、知らないことばかりだね。
乱馬について……』
「そうだね。
結局、お金の行方も聞けなかったし」
『てか、乱馬の人たちに会って、ますます使い道がわからなくなったよ。
何で多くの寄付金を積めるほどの家柄の人が集まるのに、学校のお金を使う必要があるの?
お金なんて、余るほどあるだろうに』
確かにそうだ。
謎は、深まるばかりだ……。
『凜。
私たちって、乱馬にこれ以上深く関わって良いのかな?
何だか、いけない部分まで踏み込んじゃいそうで、怖い気がする』
美愛の予感はかなり当たる。
特に、悪い予感が。
“あの事件”が起こった時も、そう。
美愛は事件の起こる1時間前ほどに、突然泣きだしたんだ。
そして、“あの子”が怪我する大事件となった。
それ以来、あたしは美愛の予感を信じるようにしている。


