10年の片想い








「贖罪?」

「うん。
その男の子、額に傷を持っているの。
名前も知らないから、それだけを頼りに凜は探しているの」




ずっとずっと。

かれこれ10年は経つ。




「その傷を作ってしまった原因はね…凜を守るためだったの……」




今も、思い出すことが出来る。

額から血を流しているその少年を見ながら、泣き叫んでいる凜を。




「凜ちゃんを……?」



いつの間にか、私の話を聞くのはキラだけでなく、カオリやウミとソラも聞いていた。




「うん……」




本当は、話すべきことじゃない。

だから、何故“あの事件”が起こったのかは、話せない。




「私が凜のこと話したこと、凜には内緒にして。
凜、思いだしたら…あのお屋敷内でみたいに、取り乱しちゃうから」




最近はなかった、あんなに取り乱すこと。

きっと、乱馬の持つ傷を見たから。




10年前。




養護施設にいた私、凛と仲良かった子が負った傷の位置と、同じ場所に傷を持つ人が現れるなんて……。