☆凛side☆
目の前でガラケーをいじるカオリ。
キラはスマホなのに。
何だかこだわりでもあるのかな?
にしても、何だか異様な空間だなぁ。
7人プラス運転手が乗りこむ黒塗りの高級車はの車内は、めちゃくちゃ静かだった。
図書館なんて、比じゃないくらい。
ほら、図書館は静かだけど、勉強するときにペンのカリカリって音聞こえるじゃん?
あんな静かな音もしないぐらい、静かすぎる。
静かすぎて、美愛は寝ているし。
あたしの隣に座るキラは、さっきからスマホいじってはニヤニヤしているし。
目の前に座るカオリは何故かひたすらキラを睨んでいるし。
カオリの隣に座るトウヤは、お人形のように微動だにしないし。
トウヤの隣に座るソラとウミは、ずっとくっついたまま話さない。
磁石かっ。
怖いぐらい静かな空間。
ただひたすら、車の走る音だけが響いていた。
「……ねぇ、凜ちゃん」
「何?」
沈黙を破ったのは、キラだった。


