10年の片想い








「…………」



そして無言のまま睨まれた。

眼鏡の奥の宝石のような黒い瞳が、怖い。

まぁ左目に眼帯をしているから、あたしたちを見ているのは右目だけなんだけど。




「か、カオリ…そんなに見つめちゃ駄目だってば。
カオリはイケメンなんだから、すぐに惚れちゃうよ」




何だかもの凄い勘違いをしているキラくん。

確かにイケメンだとは思うけど、こんな鋭い目つきの人、惚れませんって。

…キラくんから見てもイケメンなんだ、と納得。




「馬鹿だなぁキラは」

「見つめてんじゃないよ」

「「睨んでいるだよ、アハハ」」



わ、笑い事じゃないよソラくんウミくん。

てか本当に息ピッタリ…。




「え?そうなの?
カオリ睨んでいるのか?」



あたし・美愛とカオリくんの間に立って、カオリくんを覗きこむキラくん。

近ッ……。




バシッ




「気持ち悪いです。止めていただけますか」



キラくんがカオリくんに殴られた場所を、痛そうに押さえていた。