「凜(りん)!」
校門を通ったあたしを迎えたのは、美愛(みあ)だった。
美愛はあたしの、1番の仲良し。
今日も気合を入れて巻かれた茶色の髪が、美愛が走る度に揺れている。
「どうしたの?」
「めんどくさい用事頼まれちゃったんだよー」
「またあの理事長に?」
あたしと美愛は、生徒会に所属している。
あたしが会長で、美愛は副会長。
生徒会って言っても、他には誰もいないんだけどね。
2人きりの、生徒のための部活って感じ。
だって学校を束ねるのは、生徒会じゃないから。
生徒会は、名前だけの、いらない存在なの。
理事長は、あたしたち生徒会をパシリのように扱う。
別に良いんだけどさ。
私も美愛も、大人なんて信用していないから。
「今度は何?
また予算の見直し?
あれ以上安くすることは無理だよ」
「違うの。
アイツらのお金の使い道、調べてくれだって」
アイツら。
それを聞いただけで、あたしは眉間に皺がよる。
すぐに真顔に戻し、美愛と一緒に溜息をつく。
「無理。
アイツのお金の使い道を調べるなんて。
理事長はやらないわけ?」
「理事長は何度も行ったんだって。
でも来ないから、私たちに任せるみたい」
本当理事長は、あたしたちを何だと思っているんだか。