名前呼びの人が去っていくのを見てから振り返った千堂に詩織は驚いた。 レンズ越しの冷めた目。 口もなにもかもが感情を持っていない。 さっきと違う冷酷な表情。 驚きと恐怖が混ざったものが体を重たく動けなくした。 そんな詩織に千堂はゆっくりと手を伸ばす。 その手は詩織の頬に触れて流れるようにアゴの方に行き顔を上に向かせた。 レンズに映った自分は無防備で。 ヤバイと思った時には遅かった。 優しく降ってきた千堂の唇は冷めた顔とは裏腹に温かかった。