グラウンドを囲むように弧を描いて延びるイチョウの並木道を、僕は歩いていた。


 ただ独りきり――。


 イチョウの実は夕焼け色に輝き、黄金色の葉はひらひらと風に舞いながら、土が剥きだしの小径に積もり行く。


 そんな美しい景色も、今、僕のこの目に映る事はなかった。





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