「……あれ」 中学の入学式の前日。 朝起きると、蛍さんがいなかった。 出かけるとは言ってなかったし、書き置きもない。 変だな、とは思ったけど、きっとすぐ帰ってくるだろうと軽く考えた。 でも、夕方になっても。 夜になっても。 蛍さんは家に帰ってこなかった。 深夜になって、父さんがやっと帰ってきた。 「何だお前、まだ起きてたのか……」 玄関にいる俺を父さんは怪訝そうに見てきた。