夜中に聞こえてくる喧嘩の声を、いつも布団の中で聞いてた。 父に愛された事も。 母親になった女に愛された事も一度もなかった。 しかも、外を歩けば。 「あ、あの子でしょ?家がいろいろ大変なの」 「夜中、あの子の家からまた怒鳴り声がしてたわ」 「あそこの旦那さん、女癖悪いんですって」 近所のおばさん達の噂話の的になった。 学校に行けば、みんな同情の目で見てきた。 「丸川くんの家、お父さんとお母さん仲悪いんだって」 「えー、可哀想!」 毎日とても居心地が悪かった。