「玲奈ー、早くしなさい」


「もー!そんな急かさないでよー」



朝、洗面所で髪の毛を念入りにセットしながら、リビングから叫ぶお母さんに適当に返事をした。




「彼氏クンがお迎えに来てるのよ?」


“彼氏”という単語を聞いた瞬間、私は大急ぎで身支度を済ませて。



「行ってきまーす!」


スクールカバンを掴んで、家を飛び出した。



家を出ると、




「まいどの事だけど、遅い」


携帯片手に、ややいじけた様子の彼が壁にもたれかかって立っていた。