「目が覚めたのか。いつ目覚めた?呼べばすぐにここに来たんだが」

 女が目を丸くする。
 同時に、考えこんでいるようだ。

 そうか。
 その見た目だけあって、

 「やっぱり日本語は通じないか…」

 「『そなたは他大陸の者か?』」

 彼女が口を開いた。
 しっかりした声だ。

 しかし、驚いたな…。
 俺は語学は堪能な方で、結構いろんな言語を知っている。
 聞いたら何語かわかるくらいには。

 しかし、こいつの発する言葉は全くわからなかった。

 「お前、どこの国のモンだ?そんな発
音の言語、聞いたことがない」

 「『とにかく礼を言う。感謝する。どうもありがとう』」

 「お前の容姿だけじゃ、どこの国から来たのかわからねえんだよ。お前の顔の造りはこの世界にない構造してる気がしてな。気になったんだ。」

 「『しかし、これ以上迷惑はかけられぬ。私はもう何も持たぬ身。ここにはおれまい。何も礼に差し出せるものがない故』」