願い事を一つだけ。【短編】

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全てを聞いてから、咲さんが顔を歪める。


「………カスッ」


え、今何か聞こえた。

何か怖いワード聞こえた。

「え、あの、咲さん?」


恐る恐る顔を覗き込むと、咲さんが急に身を乗り出した。

「何よそれ!!カスッ!!だから男って嫌っ!!」


「それ凜さんが聞いたら「凜なんざどうだっていいわよ!!」


うわぁ。


咲さんがクワッと叫んだとき、


「…俺なんかで悪かったな」


恐ろしい声と共にガチャリとドアが開いた。


「あぁっ」

思わず小さく悲鳴をあげてしまった私。

さすがの咲さんも気まずそう──


「そうよ何で今来るのよ、間ぁ悪いったらないわよ」

な訳がなかった。


「お前が呼んだんだろうが。てか…菖蒲、お前どうした?」


凜兄がこっちを見て驚いた顔をする。


「泣いたのか?」


何か凜兄には知られたくない…


そんなことを思って硬直していると、咲さんがまた得意気に微笑んだ。


「ガールズトークよ!混じりたければ女になって来なさいよね!」


「誰がなるか」


露骨に嫌そうな顔をする凜兄。

まぁ…普通に嫌だろうな。

「…ところで凜。中原 青葉、知ってるわよね」