願い事を一つだけ。【短編】

ガタン─────重々しく響いた音が、自分が携帯を落とした音だと気づくのに数秒。


「……あ」


馬鹿みたい。


私だけ、私だけドキドキして…彼女がいたなんて。

朝美は知ってた?


──ねぇ。青葉…


嘘でしょう?

バカな千崎を使って、私を驚かせようとしてるんでしょう?


「─…さん!菖蒲さん!」

咲さんに身体を揺さぶられて我に帰る。


「あ……咲、さん」


「どうしたの?」


「私、フラれちゃったみたいです…」


口に出した瞬間、はらはらと涙が頬を伝う。


私は泣いているのか。


混乱しているにも関わらず、冷静な自分がいた。