願い事を一つだけ。【短編】

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「菖蒲ちゃん!?どうなさったの?咲、あなた何かしたの?」


リビングに入ると英野さんが驚いてガタンと椅子から立ち上がった。


「してないわよー!ひどいわお母さん」


咲さんは酷いと言いながらも嬉しそう。


お母さん、好きなんだろうな。


「さっ、あたしの部屋行くわよ~!!凜!ひっさしぶりでしょ~?」


「…そうだな」


「椿は家にいるから久しぶりじゃないわよねー♪」


「う、うん。椿久しぶりじゃない」


どうしたんだろう…

咲さんが、冷静な凜さんを困らせる程テンション高いんだけど…


若干腰が引けた私に、英野さんが囁く。


「咲ね、最近勉強ばかりしてたんですよ。だから凜くんとも話す機会が減って寂しがってたんです。根は優しい子だから…従業員の分際で図々しいですが、付き合ってやって下さい」



どことなく英野さんも嬉しそうだ。