願い事を一つだけ。【短編】

私と目が合った瞬間、ピシリと椿姉様が固まる。


「何でいるの」

「っ…ごめんなさい」


やっぱり恨んでる、か。


「大丈夫、なの…?」


そう思ったとき、予想外な言葉が聞こえた。


「え?」

「菖蒲も、お母さん達に!?」


あたふたと出てきた姉様。

「いえ、違います…」


あまりに驚いて、情けないような声しか出ない。


「あたしが連れて来たのよ。シケた顔してるから」


驚いたままの私に、ね?と咲さんが笑いかける。


「そっ、か…良かった。椿もう心配して本当に…」


へにゃりと笑う姉様。


「申し訳ありません…姉様、私」


余計な心配をかけさせてしまった。

だから私はダメなんだ。


姉様が私を何度も振り返ってしまうのは、私のせい。


「あーあぁ!!ちょっと!!本音で喋んなさいよ!もどっかしいわねぇ!!」



急に咲さんが叫んだ。

思わず凜さんを見ると、もう呆れたような諦めたような顔をしてポケット参考書を手に、門にもたれかかっている。



「咲?どうしたの急に?」

姉様も目を白黒させている。

すると、咲さんが今叫んだのが嘘のように笑った。


それはもう美しく。