願い事を一つだけ。【短編】

全部見抜かれていた。





咲さんの家は割と近いところにあった。


大きな洋風のお洒落な一戸建て。


「ここよー。今はお母さんもいるし椿もいるし。別に緊張しなくていいわよ」



道中、あの英野さんの娘さんだということを改めて聞いた。


「ありがとうございます、でも…私部活帰りで」


汗くさいと思うんだけど。
咲さんからは動く度に良い香りがするし、そんな咲さんの家に今の私が入るのは気が引ける。


それなら家へ1回帰って高速でシャワーを浴びてワンピースか何かに着替えて、手土産くらいは持って伺いたい。



「いいのよ別に。気にしないで?」


「おい咲。菖蒲のこと振り回すんじゃねぇよ」


凜さんが咲さんを呆れた顔でいなす。


「うるっさいわねー。こんなシケた顔の子ほっとけるわけないでしょー?」


シケた顔…咲さん、ちょっと傷つきます…



なんて思っていると、ガチャリとドアが開いた。


「咲ー?そんな所で何してるのー?」



椿姉様、だった。