僕の15歳最初のディナーが終わりを告げようとしていた。
それはいつもより充実しているように思えた。
それは僕自身の問題ではなくて、多分この料理のせいだ。
料理のメニューが充実してたんだ。
僕は直感的にそうした方がいいと感じた。

そういえばバースデーケーキ。
いつも四号ワンホールなのに今年は四号ワンホールを2つに切り分けられていた。
なぜだか、わからないと言えばわからない。
誰かにあと一押し、背中を押してもらえたら。
答えが出てくる気がする。
それは、このことだけじゃなくて。
重要なことがたくさん、溢れ出てくる気がする。
まぁ押してくれる人もいなければ求めてもないし、皿でも洗おうかな。

床がフローリングにも関わらず、スネ辺りの高さの足の低い丸い木造の折り畳みの机がある。
いわゆるちゃぶ台に近い感じだ。
その机の上にある5つのお皿を全て重ね、シンクまで持っていく。
水を出して洗った。
冷たい水が、指先を伝ってくすぐったい。
お皿を洗い終えるとタオルで丁寧に拭き取りそのまま食器棚に入れる。
今日は夜景を見る予定だ。
また何か口に入れたくなるだろう。
お皿をまた使うのだ。
じゃあすこしくらい濡れててもいいじゃないか。
誰に訴えるわけでもなく、自分を正当化するために言った。
そうだ、珈琲を飲みたい。
僕は珈琲の香りが好きだ。
世間の大人たちの煙草と同じ役割だ。
珈琲は自分にというか、世界に酔える。
いい意味で。

そして僕は珈琲サーバーでゆっくり、ゆっくり、ゆっくりと珈琲を入れた。
そしてそれを薔薇の柄が下の方に1つだけあるカップを取り出して注いだ。
珈琲の臭いが漂う。
とてもいい気分だ。
このままの気分で空を見て、空気を吸いたい。

だから僕は少し足早に、珈琲を持って窓際まで歩いていった。