私の時間は永い。
だって私はこの15年間ここから出てないから。
これから出るつもりもないから。
家にいて、何をしてるわけでもない。
朝起きて、ぼーっとしたら、もう日は落ちている。
ご飯は私の親が交通事故で亡くなってから一週間に一回、日曜日の朝早くに、ドアの左側に食材や調味料などが置いてある。
ドアに欲しいものを紙に書いて貼っておけば、翌朝には置いてあった。
私が思うに、管理人さんの住んでいる一軒家から見て、かなりのお金持ちだ。それにいまだに独身であるんだと思う。管理人さんの家からは何の声も聞こえない。
だからこそ、私にここまでお金をつぎこんでくれるのだと思う。

私の隣の部屋の人もそのような状態なんだと思う。
私は隣の部屋の人がドアを開ける音を毎週土曜日の早朝しか聞いたことがない。
しかもそれはドアが空いたり閉まったりを繰り返している。
おそらくドアの横においてある管理人さんから支給の生活用品を家に運んでいるのだろう。
ここまで確定付けられるのは私も同じことをしていたからだ。

部屋は無機質といっていいほどに、なければならないものしか置いていない。
ベランダはなく、南側に窓が1つあるだけ。
窓の下は管理人さんによって丁寧に揃えられた草、花が結構な広さで生えている。
そしてここは野良猫の集会所なのだろう。
よく野良猫がいる。
私の住んでいるのは二階だから、よく見える。
間取的には玄関入ってすぐ廊下、その奥にリビングという名の私の六畳の部屋。
廊下の右側にトイレとお風呂などがあるだけ。
恐らくこのアパートは全部こんな感じなのだろう。

私は今日も、何をすることもなく眠りにつく。