ド天然!? 魔女っ子の秘密【2】

雄大なラトセーヌの木々を背に半円を描いて、ラトセーヌの泉はゆったりとその水を蓄えていた。

穏やかな水面は周りの景色を鏡のように映し出し、その水は透明度が高く、不純な物は一切含まれていないのがよく分かる。水底の丸い小石の色さえ鮮明に見えた。

まるで絵画のような景色の中で、白い衣装を身に纏った美しい女性が祈りを捧げている。

それがジュリア姫だった。

ジュリア姫は胸の辺りで両手を重ねて握り、目を閉じている。そして何の呪文もなしにふわりと泉の上に浮いた。


「 聖なる森よ 泉よ

悠久の時間を経て 蓄えられしその力

どうか我らに与えたまえ

その力で我らの身を心を癒し

我らに栄光を 」


姫がそう願うと泉は黄金に輝きだした。黄金に輝く水面に反射して森の木々も輝く。

光は一層強く光って、あまりの眩しさに腕で目を覆った。

しばらくして光が収まった頃、再び目を開けると、姫は地面に降りたってあたし達に微笑んでいた。

「大丈夫ですか?」

「ええ…」

何が起こったか分からないままに返事をする。

姫は晴人さんから器を受け取ると泉の淵にしゃがんで、その水を掬った。

それからあたしに差し出すと「どうぞ、いただいてください」と微笑む。

「きっとこれで回復するはずですわ」