ド天然!? 魔女っ子の秘密【2】

「古文書から古代使われていた魔法のスペル(呪文)を発見して、それを復活させた」

その報告が今回の課題だったと翔太は語った。


「大分難しいし魔力も相当持っていかれるけど、面白いな。あれが実践で使える様になればきっと攻撃に幅が出るだろう」


きっと面白い戦いになると翔太が言うのを見て、あたしは複雑な気持ちになった。

「由良?どうかしたか?」

異変に気付いたのか、翔太は不思議そうにあたしの顔をじっと見つめながら尋ねる。


「もう、戦わないで」


それはあたしの願いだった。


翔太は強い。

きっと"サファイア"での訓練もそうだし、本人も相当努力してきたんだろう。

咄嗟の判断も機転も、翔太は他の人よりよほど優れている。

それは一緒に戦ったことがあるから分かっている。

分かっているけれど。


もう、傷ついてほしくない。

大切な人が傷つくのは嫌だ。

傷つくのも嫌だけど、もし誰かにやられたりしたら。

もし、何か凶悪なものと戦って死んでしまったら。

…そんなの、考えるだけでも嫌だ。


あたしが何も言えずに黙っていると、翔太はその手をぽんとあたしの頭に乗せた。



「ばーか」



柔らかいその声に顔を上げると、翔太が優しく微笑んでいた。


「俺がやられるわけねえだろ」


本当に由良あほだなと小ばかにしたように言う。