翔太が名前を呼ぶ。眉間にシワを寄せて、あたしを見ている。
「お前、やっぱり…」
「大丈夫!」
あたしは大声でそう答えた。それから笑ってみせる。
大丈夫だと翔太にも自分にも言い聞かせる。
昨日は寝てない。体調も悪い。魔力も不安定で、弱まったようにさえ感じる。コンディションは最悪だけど、そんなことくらいで「もう駄目だ」とへこたれてしまうほど、あたしはきっと弱くない。
今まで数え切れないほどの凶悪な魔物と戦ってきたんだ。怪我の数も、魔力をすり減らして戦った数も、他の魔法使いよりずっと多いけど、乗り越えてきた。
今更大丈夫だ。こんなことくらいで、あたしは駄目になったりしない。
「大丈夫」
翔太はじっとあたしを見つめて溜め息を吐いた。
そうこうしているうちに森に着いた。
警備している譲二さん達に挨拶をして、姫がいつも使っている道を辿ると難なく泉にたどり着く。最初からこっちを教えてもらいたかった。
泉のほとりの小屋に着くと、姫は祈りの準備があるからと奥の部屋に行ってしまった。
それを待つ間、警戒すべき場所の確認をは晴人さんと翔太とあたしの3人で行う。
机の上にラトセーヌの森周辺の地図を広げて、晴人さんが説明をしてくれた。



