ド天然!? 魔女っ子の秘密【2】

朝食を食べ終わって、また昨日と同じようにラトセーヌの森に向かう。

あたしと翔太は普通の箒、晴人さんは籠付き箒に跨がって、その籠の中に姫が乗り込む。

「私も箒に乗れるのに、みんなで一緒に飛びたいのに、晴人がダメって言うの」

姫は恨めしそうに晴人さんを見つめる。

「箒で飛んでいる最中に姫が狙撃でもされたら危険ですし、守り切れない可能性もあります。籠の中の方がずっと安全ですから」

晴人さんにそう言われて姫は「分かっているわよ」とむくれた顔をする。


「分かってるのなら乗り込んでください」

「分かっているわ」


姫は乗り込みながら俯く。


「そんなことは、分かっているのよ。でも」


寂しそうな姫の呟きが聞こえて、思わず籠の中の姫の名前を呼ぶと姫はぱっと顔をあげて「何でもありませんわ」と微笑む。

何でもないなんて、そんなわけない。そう思って問いたかったけれど、「行きましょう」と翔太が言うのでできなかった。

それから一斉に呪文を唱える。魔方陣が回りだし、風が吹いた。地面を蹴るとふわりと宙に浮かぶ。

とまらない頭痛と耳鳴りにうなされながらも、それを表情にはでないように必死に押し殺して飛んだ。

体調が悪いせいか、いつになく魔力が安定しない。ふらつかないように箒を握りしめる。

いつもなら鳥になったように、風を感じて空を飛ぶのが楽しくて仕方ないのに。

今は楽しさなんて感じる余裕もない。


「由良」