だって今も同じ場所にいるのに、あたしは一緒にいられない。
同じ体験を、出来事を、同じように感じることが、体験することができない。
隣にいてもきっと、あたし達は同じものを同じように見ることができないんだ。
なんだか別の世界にいるみたい。
翔太が、遠い。
どれだけ近づいても、隣には行けないや。
…ああ、でも。
きらりと光る右手の薬指に目をやる。
あの日、ヒュドラとの戦いの後に翔太がくれた指輪。あたしの宝物。
見るだけで幸せな気持ちになる。
結婚してくださいとあの日言われ、嬉しくて泣きながら指輪を受け取った。
でも、婚約はしていない。
翔太は"サファイア"の当主で、あたしは"ガーネット"の一人娘。
お互いの立場を考えるとすぐに決めることはできなかった。
だからこの指輪はただのプレゼント。
交わした言葉も、ただお互いの気持ちを確かめ合っただけのもの。
たったそれだけのことだ。
だけどその言葉を思い出しただけで強くなれる。嬉しくなる。
確かなものなんてどこにも何にもないのに、明日が楽しみになる。
これが恋の魔法なのかもね、なんて言ったら笑われるんだろうな。
そんなことを思ってひとり笑ったその時だった。
「何ひとりで笑ってんだ」
振り返るとそこには奇妙なものを見るような目を向ける翔太が立っていた。
っていうか、彼女をそんな目で見るなんてひどいと思う。
「別に?」
「嘘つけ。ニヤニヤして、気味が悪い」
「気味が悪いなんて!それ普通彼女に言う!?」
同じ体験を、出来事を、同じように感じることが、体験することができない。
隣にいてもきっと、あたし達は同じものを同じように見ることができないんだ。
なんだか別の世界にいるみたい。
翔太が、遠い。
どれだけ近づいても、隣には行けないや。
…ああ、でも。
きらりと光る右手の薬指に目をやる。
あの日、ヒュドラとの戦いの後に翔太がくれた指輪。あたしの宝物。
見るだけで幸せな気持ちになる。
結婚してくださいとあの日言われ、嬉しくて泣きながら指輪を受け取った。
でも、婚約はしていない。
翔太は"サファイア"の当主で、あたしは"ガーネット"の一人娘。
お互いの立場を考えるとすぐに決めることはできなかった。
だからこの指輪はただのプレゼント。
交わした言葉も、ただお互いの気持ちを確かめ合っただけのもの。
たったそれだけのことだ。
だけどその言葉を思い出しただけで強くなれる。嬉しくなる。
確かなものなんてどこにも何にもないのに、明日が楽しみになる。
これが恋の魔法なのかもね、なんて言ったら笑われるんだろうな。
そんなことを思ってひとり笑ったその時だった。
「何ひとりで笑ってんだ」
振り返るとそこには奇妙なものを見るような目を向ける翔太が立っていた。
っていうか、彼女をそんな目で見るなんてひどいと思う。
「別に?」
「嘘つけ。ニヤニヤして、気味が悪い」
「気味が悪いなんて!それ普通彼女に言う!?」



