ド天然!? 魔女っ子の秘密【2】

「勘違い?」

そう口に出してみたものの、納得はできない。

だって本当に確かにそこに何かいた。

何かが…何が?

もう一度目を凝らした、その時だった。


「由良様?」


ドアをノックしたのは、晴人さんだった。


「は、はい!」


あたしは瞬間弾かれたように返事をする。


「失礼します」


晴人さんは部屋を開けると「明かりもつけずに、どうかなさいましたか?」と真剣な顔で尋ねられた。


「あ、いえ、つ、月明かりが綺麗だな、と」

あはは、と笑って誤魔化す。

確証がない限り、あたしの感じた違和感を伝えるわけにもいかない。

中途半端に言ってしまったら、晴人さんに余計な心配事を増やしてしまう。

晴人さんは「そうですか、確かに今日は明るいですね」と案外すんなりと納得してくれたので、ほっと胸を撫で下ろした。


「そうだ、晴人さん、こんなところまで、どうかなさったんですか?」

すると晴人さんは「そうでございました」と思いだしたように微笑んだ。

「由良様、お食事は済まされました?」

「あ、いえ、まだ」

「でしたら、食堂までご案内いたしますよ」

「あ、ありがとうございます」

確かに部屋にこもっているよりは、気分も紛れるかもしれない。

あたしは微笑んで、晴人さんと一緒に王城内の食堂へと向かった。