ド天然!? 魔女っ子の秘密【2】

姫は翔太を部屋に呼んでどうしたのだろう。

2人きりで、何を話すつもりなんだろう。

頬を赤く染めた姫の顔を思いだしてしまう。

姫のクオートを食べた時の翔太の顔も、ついでに思いだしてしまった。

あんな翔太を、あたしは見たことがない。

あんなに感情的な姿を、あたしに見せてくれたことはない。

怒ったときくらいで、それ以外に感情的な表情なんて記憶がないくらいには見ていない。

あたしには見せてくれない表情を、翔太は姫には見せる。

きっとそれはどうしようもなくて、翔太だって故意でやっているわけではない。

それは分かっているけれど。

どうしようもなく、悔しくて悲しくて。

どうしてあたしには見せてくれないの、って思ってしまうんだ。

だって、翔太はあたしの、なのに。


そう考えてあたしは首を横に振った。


だめだ、だめだ、そんな考え方は。

独占力丸出しな、そんな考え方は。


いつだってあたしは翔太が好きで、翔太だってあたしを好きでいてくれる。

それを一番分かっているのはあたしのはずなのに。


はあ、と溜息を吐いた、その時だった。


ゆらり、ろうそくの火がゆらぐみたいに、何かが動いた気がした。

慌てて立ち上がり、窓の外を見る。

城内には森があるのだけど、そこに何かがいた気がした。

だけどいくら目を凝らしてみても、何も見えない。