ド天然!? 魔女っ子の秘密【2】

魔界というのはこの世界とは別の世界で、凶悪な魔物やもっと恐ろしいものが住んでいる世界、凶悪な魔物は魔界からやってくるとされている。


「悪い魔法使いは魔界に連れていかれて魔物に喰われる」だとか、「魔界からやってきた魔物が町を荒らして人々を困らせる」だとか、「魔物よりもっと邪悪な悪魔がそこには住んでいる」だとか、色々言われているけれど、どれも空想の中の話だ。

そんな魔界をつなぐ扉がどこかにあるらしい、というのも絵本で読んだ記憶がある。

その扉が描かれていたのは確かに洞窟の中だったけど、まさかそんな失態をしていたなんて。

幼さゆえの過ち、恥ずかしさの波にのまれている横で、千沙さんは思い出したようにクスクス笑っていた。

「あの時の当主、見ていてすごく面白かった。嬉しそうでもあったし、すごく苛立ってもいたんだもの」

「嬉しそうなのに苛立つってどういうこと！？お父様の心情どうなってるの！？」

あたしが混乱していると「由良さんが可愛いけれど、仕事がはかどらなくて葛藤してらしたのよ」と笑いながら千沙さんは付け加えた。


「当主はあっさり魔物を退治してしまわれて、『魔界の扉なんてないだろう』と冷静におっしゃったのよ。いつも冷静で厳格なお方だから、こんな風に我が子とはいえ小さな子どもの話にも乗ることがあるんだなって初めて知ったわ」


「優しいお方であることも知っていたけどね」と千沙さんは付け加えた。