「由良さんは昔から変わらないわね」
「ええ、そうかな?」
そうよ、と千沙さんは嬉しそうに微笑んだ。
千沙さんはあたしが小さい時からずっとあたしを知っている。物心がついたときには既に千沙さんはいた。
きっと幼くてあたしの覚えていないことだって覚えているんだろう。千沙さんはあたしにとってお姉さんみたいな存在だ。
「そうそう」と千沙さんは思い出したように言った。
「由良さん、洞窟などの暗いところは昔から苦手だったわね」
「ああ、あれはどうしても慣れないよね…」
あたしは溜め息を吐いた。
例えばデビルバットとか、凶悪な魔物は洞窟のような光の届かないところに住処があることも多い。
もちろんそういうところにも行かされるけど、やっぱり一人で真っ暗闇というのはとても怖い。
なにがいるか分からないところや、光がどこにもないところとか、ひとりぼっちとか、怖い要素はたくさんあるんだ。
「覚えてる?由良さんがまだ小さい頃、魔物退治で当主と由良さんと私で洞窟に行ったとき、由良さんすごく怖がって大声で泣いてたのよ」
「え、え?!待って、何の話?!」
あれは可愛かったなあと懐かしそうに千沙さんは笑うけど、あたしは全く覚えてない。記憶にない。
「ずっと泣いてたのよ。いつも大人しくて聞き分けのいい由良さんが、『ここは絶対に魔界に繋がってる~!』って当主や私が洞窟に入ろうとするのを必死に引き留めようとしていたのよ」
「ええ、そうかな?」
そうよ、と千沙さんは嬉しそうに微笑んだ。
千沙さんはあたしが小さい時からずっとあたしを知っている。物心がついたときには既に千沙さんはいた。
きっと幼くてあたしの覚えていないことだって覚えているんだろう。千沙さんはあたしにとってお姉さんみたいな存在だ。
「そうそう」と千沙さんは思い出したように言った。
「由良さん、洞窟などの暗いところは昔から苦手だったわね」
「ああ、あれはどうしても慣れないよね…」
あたしは溜め息を吐いた。
例えばデビルバットとか、凶悪な魔物は洞窟のような光の届かないところに住処があることも多い。
もちろんそういうところにも行かされるけど、やっぱり一人で真っ暗闇というのはとても怖い。
なにがいるか分からないところや、光がどこにもないところとか、ひとりぼっちとか、怖い要素はたくさんあるんだ。
「覚えてる?由良さんがまだ小さい頃、魔物退治で当主と由良さんと私で洞窟に行ったとき、由良さんすごく怖がって大声で泣いてたのよ」
「え、え?!待って、何の話?!」
あれは可愛かったなあと懐かしそうに千沙さんは笑うけど、あたしは全く覚えてない。記憶にない。
「ずっと泣いてたのよ。いつも大人しくて聞き分けのいい由良さんが、『ここは絶対に魔界に繋がってる~!』って当主や私が洞窟に入ろうとするのを必死に引き留めようとしていたのよ」



