ド天然!? 魔女っ子の秘密【2】

翔太の元に駆け寄って、妖艶に微笑む美玲を注意深く観察する。その手にある物が目に入って尋ねた。


「…美玲、それは、何?」


香水でも入っていそうな、可愛らしい薄ピンク色の小さなガラス瓶。

でもきっと中身は香水ではない。

直感で分かった。



「一時的に足の感覚を奪う魔法薬よ。大学での実験で鎮痛剤を作ろうとしたら偶然できたの。まあ、効果は一時的だけどね」


「ど…どうしてそんなものを翔太に使ったの!」


美玲の考えが分からない。すると美玲は「あなたのためよ、由良」と微笑む。



「言ったでしょう。

言いたいことをちゃんと翔太に言おうって。翔太に会いに行こうって話をしたじゃない。

そのために私も雅人もここにいるのよ」



確かにそうだった。

美玲達はあたしと一緒に魔物退治をしに来たわけではない。

そしてあたしが本当に言いたかったことは、ラトノスに魔物が出ることでもなかった。


本当に、本当に言いたかったのは、別のこと。



「まあ、由良達みたいに魔物退治が本職ではないから、伝説の聖獣相手に私達がどれくらい戦えるか分からないけどね。でも、そこらの魔法使いよりは強いわよ」


その言葉に雅人は「いいこと言うなあ、美玲!」と元気に笑う。



「お前が言いたいことを言えるだけの時間は稼いでやるよ、由良」


「美玲、雅人…」


2人は揃って笑顔で片目を閉じる。

それはまるで、大丈夫だと背中を押してくれているみたいだった。