「姫は、気さくな方だよ。可愛らしくて、花が咲くみたいに笑う、きっとこの国の人みんなが姫のことが大好きだと思う」


マルシェでの姫の笑顔を思い出した。

あんなに可愛らしく笑う人をあたしは姫以外に知らない。


「それから…あ、恋の話とかしてたかな」

「恋の話!?」


美玲も雅人も目を丸くして叫んだ。


「な、なんで叫ぶの…」


耳を塞いで2人を横目で見るけど、2人とも興奮しているらしかった。


「いや、叫ばずにはいられないでしょう!この国の姫の心を射止めた人がいるなんて!」

「で、その相手は誰だって?」


わくわくした表情の2人に伝えるのはなんとなく気まずいのだけど、「そこまでは聞けなかったんだ、パイフーに襲われたから」と答えた。


「でも、好きな人はいるんだって」


好きな人を好きで居続ける強さが欲しいと言った、姫のあの表情を思い出して胸が痛んだ。


「でも多分、翔太じゃないかなって、思うんだ」


その言葉に美玲も雅人も驚きを隠せないようで「翔太!?」と口を揃えて叫んだ。


「あいつ、大学でもモテるけどまさか姫にまで想われるとか、どんだけモテたら気が済むんだよ…」


雅人はぼやいて呆然とするが、美玲は「本当なの?」と鋭くあたしに追求した。


「姫はそう言ったの?」


あたしは首を横に振って「言ってはなかったよ」と答える。


「でも、そんな感じがした」