このパイフーの金属片は厄介だ。
鋭く尖った巨大な金属片は少しかするだけでも大きな怪我につながる。当たり所が悪ければ致命傷にもなりかねない。
「"シールド"!」
杖を掲げて叫んでも、何も起こらない。
どうして?
疑問が頭の中を巡る。
「由良様!」
姫の叫び声が響いた。
飛んでくる金属片を何とか避けるが、その速度は凄まじく、急所を外すのが精一杯だった。
体のあちこちから出血して息もあがっているけど、なんとか立っていられる、そんな状態だ。
でも、あたしは諦めない。
思考を止めるな。
考えろ。考え続けろ。
そうだ、シールドが張れないなら、パイフーを攻撃するしかないじゃん。
攻撃は最大の防御だとお父様に言われてきたでしょう、そう自分に言い聞かせる。
今にも砕けそうな心をなんとか奮い立たせて、杖を掲げる。
あたしが一番得意な攻撃魔法なら、きっと。
きっと、どうにかなるはず。
希望を込めて、叫んだ。
「"ファイヤー"!」
しかしやはり何も起きない。
悲しいくらいに静かな杖を痛いくらいに握りしめて、あたしは叫んだ。
「"ファイヤー"。
"ファイヤー"…っ!
"ファイヤー"っ!!」
どれだけ叫んでも、どれだけ強く念じても、杖は反応しない。
「なんで…なんで何も起こらないの!」
いつもならあるはずの、体の奥から魔力が沸き上がってくるのを感じない。
まさか、と嫌な予感が全身を走った。
「…魔法が、使えない…?」
鋭く尖った巨大な金属片は少しかするだけでも大きな怪我につながる。当たり所が悪ければ致命傷にもなりかねない。
「"シールド"!」
杖を掲げて叫んでも、何も起こらない。
どうして?
疑問が頭の中を巡る。
「由良様!」
姫の叫び声が響いた。
飛んでくる金属片を何とか避けるが、その速度は凄まじく、急所を外すのが精一杯だった。
体のあちこちから出血して息もあがっているけど、なんとか立っていられる、そんな状態だ。
でも、あたしは諦めない。
思考を止めるな。
考えろ。考え続けろ。
そうだ、シールドが張れないなら、パイフーを攻撃するしかないじゃん。
攻撃は最大の防御だとお父様に言われてきたでしょう、そう自分に言い聞かせる。
今にも砕けそうな心をなんとか奮い立たせて、杖を掲げる。
あたしが一番得意な攻撃魔法なら、きっと。
きっと、どうにかなるはず。
希望を込めて、叫んだ。
「"ファイヤー"!」
しかしやはり何も起きない。
悲しいくらいに静かな杖を痛いくらいに握りしめて、あたしは叫んだ。
「"ファイヤー"。
"ファイヤー"…っ!
"ファイヤー"っ!!」
どれだけ叫んでも、どれだけ強く念じても、杖は反応しない。
「なんで…なんで何も起こらないの!」
いつもならあるはずの、体の奥から魔力が沸き上がってくるのを感じない。
まさか、と嫌な予感が全身を走った。
「…魔法が、使えない…?」