任務のことだけを考えて、モヤモヤした余計なことなんて考える隙も与えないように。
膨れ上がる感情を抑えつけるのは結構疲れるけれど、それでも思考がすっきりするからまだマシだ。
今姫を守れるのはあたしだけ。
依頼をこなせるのはあたしだけ。
頼れる相棒はいないから。
翔太に頷いて手のひらを差し出すと、翔太の拳は開いて中から紅い欠片が手のひらの上に溢れた。
それは魔石ガーネット。姫から与えられた石の、残りの半分だ。
「2つ渡しておく。使うことがないといいがな。もし聖獣に出会(でくわ)したときはすぐに俺を呼べよ。飛んでいく」
「呼ぶこともないといいけどね」
「全くだ」
それからお互いの拳を重ねた。
「頑張れよ」
「うん」
それからあたしと姫は、心配そうな晴人さんと翔太に見送られて城下町へと繰り出した。
城の門を出たところで、あたしはとても嬉しそうな顔をして鼻歌まで歌い始めた姫に気になっていたことを尋ねた。
「姫、どうして今、城下に行ってみたいと仰られたのですか?」
いくら晴人さんに止められ続けたとはいえ、何もこのタイミングでなくとも良かったはずだ。
暴走する聖獣という前代未聞の危機が訪れた今、護衛の数を減らして防御の難しい城下町に出掛けることがどれほど危険か、姫もとても聡いお方だから重々分かっているはず。
それなのになぜ今言い出したのか。それがずっと疑問だった。
膨れ上がる感情を抑えつけるのは結構疲れるけれど、それでも思考がすっきりするからまだマシだ。
今姫を守れるのはあたしだけ。
依頼をこなせるのはあたしだけ。
頼れる相棒はいないから。
翔太に頷いて手のひらを差し出すと、翔太の拳は開いて中から紅い欠片が手のひらの上に溢れた。
それは魔石ガーネット。姫から与えられた石の、残りの半分だ。
「2つ渡しておく。使うことがないといいがな。もし聖獣に出会(でくわ)したときはすぐに俺を呼べよ。飛んでいく」
「呼ぶこともないといいけどね」
「全くだ」
それからお互いの拳を重ねた。
「頑張れよ」
「うん」
それからあたしと姫は、心配そうな晴人さんと翔太に見送られて城下町へと繰り出した。
城の門を出たところで、あたしはとても嬉しそうな顔をして鼻歌まで歌い始めた姫に気になっていたことを尋ねた。
「姫、どうして今、城下に行ってみたいと仰られたのですか?」
いくら晴人さんに止められ続けたとはいえ、何もこのタイミングでなくとも良かったはずだ。
暴走する聖獣という前代未聞の危機が訪れた今、護衛の数を減らして防御の難しい城下町に出掛けることがどれほど危険か、姫もとても聡いお方だから重々分かっているはず。
それなのになぜ今言い出したのか。それがずっと疑問だった。



