事情を知らない青葉君に、何であんな嫌な言い方しかできなかったんだろう。
家に帰ってきて、私はハアーッと長いため息をついた。
手をつないで電車に乗った事が夢みたいに思える。
実際、あの時は周りからどう思われてもいいやって思っちゃったくらいだもん。
ドキドキが止まらなくて、ずっとこうしていたいな……なんて思ったりして。
だけど、電車の中で月長高校の男の子に声をかけられた時、現実に戻っちゃったんだよね。
2人が話を始めたから、聞いちゃいけない気がして少し離れたんだけど、聞こえちゃった。
『ところで、佐和子とは終わったの?』って。
佐和子さんって誰なんだろう?
青葉君の彼女なのかな……?
そんな思いがモヤモヤと胸の中に広がって、苦しくなった。