何か言えない事情でもあるワケか。



「勝手ばかり言ってごめんなさい!明日からどうぞよろしくお願いします!」


「あ、いや、こちらこそ……」



勢いよく頭を下げてすぐに、夏鈴ちゃんはこの場から逃げるように走り去っていった。


学校では声をかけないでくれ……か。


それって学校の奴らに見られたらまずいって事?



「なーんか、つまんねー事でも言われてんのかな……?」



小さくなっていく夏鈴ちゃんの後ろ姿を見つめながら、つぶやく。


周りに邪魔されるって一番嫌いなんだよな。


声かけるなって言われたけど……。


夏鈴ちゃんだからか、拒否されたら追いかけたくなった。


もっと、違う顔も見てみたいしな。


そんな事を思いながら、オレは駅へ向かった。