誰もいない事を確認して、オレは普通校舎の昇降口に回り込んだ。


靴……は、夏鈴の靴箱に入れておけばいいか。


1年A組の下駄箱を探して、夏鈴の場所を見つけ、扉を開けてオレは驚いた。


中が絵の具だかペンキをぶちまけたような感じで、真っ赤になっていたから。


上靴に赤いシミができている。


これがあるって事は、夏鈴は上靴をはけなかったという事。


……朝来た時にはこうなってたって事か。


とりあえず上靴はもうダメだから、勝手に処分する事にして……。


中に入っていた夏鈴のローファーとオレの靴を下駄箱の上に置き、掃除用具入れを探した。


このオレが自ら掃除をやるとか、なかなかレアな光景だぜ?


朱雀に見られたら、間違いなくからかわれるだろうけど。


……まあ、あいつも同じ立場になったらオレと同じ事するだろうがな。