袖口が汚れている事には気が付かなかったなー。


確かに血にも見えるかも。


隣りを歩く夏鈴をそっと横目で見て、オレはため息をついた。


やっぱり何も話そうとはしてくれないか……。


まあ、夏鈴の性格上、そうなんじゃないかって思ってはいたけどさ。


釘を刺したつもりだったんだが、やはりオレが手を出せない場所でやってきたか……。


さっきまでの事を思い返して、もう一度ため息をつく。




下校時間になって、校門で夏鈴が来るのを待っていた。


普通校舎からはもう生徒が出てこなくなったというのに、夏鈴はいっこうに姿を見せない。


何かあったんじゃないかと思って、オレは普通校舎へと忍び込むことにした。


実は、この校舎に忍び込むのは初めての事ではない。


朱雀と一緒に何度か『探検』と称して、忍び込んだ事があるので、教室の位置などは把握していた。