手をつないでいいのかな……?
そう思いながら手を出そうとした時、龍斗君のブレザーの袖口から見えたYシャツが赤くなっている事に気が付いた。
「龍斗君、袖口どうしたの?まさか、血……?」
「え?」
指さしながら聞くと、彼は差し出していた手を引っ込めて袖口を覗きこんだ。
うっすらとにじんだような感じでついた赤いモノ。
まさか……ケンカしたわけじゃないよね?
ケンカはしないって約束したから、違うよね?
「あー、血じゃないから大丈夫」
「そ、そっか。良かった……」
血じゃないなら何だろう?
ペンキとか絵の具かな?
……待って。
もしかして、靴箱が綺麗になっていたのって、龍斗君が……?
私の手をつなぎながら、優しい笑顔を向けてくれる龍斗君に何も聞く事はできなかった。