「おい、龍斗。何、沈んだ顔してんだよ?……あ、まさかもうフラれた?」
電車に乗ったら、偶然朱雀も同じ電車で。
浮かない表情のオレに朱雀はニヤニヤしながら絡んできた。
「んなワケないだろ。ただ、ちょっとやっかいな事になっただけだよ」
「あ?もしかしてまたトイレ野郎が来たとか?」
「その方が幾分マシだよ。……恭子と千絵が昨日、バイト先に来やがった」
つり革につかまりながらオレが言うと、ため息をつく朱雀。
カタンカタンと電車が揺れて、朱雀はドアに寄りかかった。
「あんまり楽しい話じゃなさそうだな」
「楽しくねーよ。前々から夏鈴は目を付けられてたみたいだけど、テストの結果とオレと同じバイト先だったって事で、完全に標的にされただろうな」
昨日の2人の様子からして、完全に。