「やっぱり、気になる?何かされたらすぐにオレに言ってくれればいい。すぐに助けに行くから」


「そうじゃないよ。……嬉しくて」


「え?」



嬉しくて……って言ったよな?


ボソボソとつぶやくように言ったから、聞き取りにくかったけど。



「じゃあ、駅で待ち合わせね」


「ああ、待ってるから」


「うん、また明日ね」



夏鈴は手を振って家へと入っていった。


……また明日ね、か。


すげー新鮮な響き。


駅に向かって歩きながらも、にやけが止まらない。


傍から見たら、オレ完全に危ない奴になってるはず。


口元を隠しながら、早足で駅に向かうけれど、にやけは止まらなかった。


これヤバいだろ……。


まさかオレが夏鈴にこんなにハマるなんて。


自分でもマヌケだと思うけど、今の方がすげー心地よくてフワフワしてるっつーか。


……ああ、これ絶対に朱雀には言えねー。


まあ、あの朱雀ですら響ちゃんにはしまりのない顔をするから、オレも同じなんだろうな……。