あの時、少し遠目から見ていたから顔は、ハッキリ見えなかったけど、声は覚えている。
それに、“礼”と、名前を呼ばれていたのを思い出し、私の考えは確信に変わった。
…この人が…礼さん
少し茶色がかったセミロングの髪はゆるく巻かれ、
メイクもバッチリ。
ちょっと、猫目の目は、パッチリ二重で、愛嬌のある顔立ちだ。
…男子に人気あるだろうな
と、一目でわかる。
「ゴメンね。徹、今いないみたいで。用事あったんでしょ?来たこと伝えとくね?えっと…名前…」
「…あ、1組の三枝凛です」
その瞬間、さっきまで愛想良くニコニコしていた彼女たちの表情が強張った。
「…あなたが三枝…さん?」
「…そうですけど」
「…へぇ…あなたが…」
ジロジロと、値踏みするように私を見る彼女たちに、私は、なんだか居心地が悪い。



