鍵のことをすっかり忘れていた私。



ふいに、スマホで時間を確認すると、授業開始まであと3分。


…んー…今からじゃちょっと無理かな?昼休みにでも返しに行こう


心の中でそう考え、私は鍵をポケットの中に戻し、次の授業の準備を始める。




すると、



「…っちょ、授業開始まであと3分ねーぞ!」


「ほら、松本が、サッサと着替えねーから」


「…え!?オレのせいかよ!」



廊下のほうから、複数の男子のそんな会話が聞こえてきて、私は目を向けた。



どうやら、移動教室のようでバタバタと、駆け足で進む数人の男子の姿が見える。




「悠希!!お前も早歩きくらいしろよー!」


「…えー…もう、無理でしょ」




ドキン




聞き覚えのある声に思わず胸が高鳴った。