フーッと、私は息を吐いた。
緊張からか、だんだん鼓動が早くなるのを感じる。
当時、真実から目を背けて、自分を守った私。
正直、今でも真実を聞くのが怖くないわけではないし、
…本音を言ってしまえば、聞きたくない。
でも、
広瀬くんに出会って、加恵と御池くんに再会して…。
そして、再び悠希に巡り会えた。
これは、絶対に偶然なんかじゃないって思うから。
それに、ようやく悠希の口から本当のことを聞きたいって思えるようになったから。
「…っあのね、私…あの日…卒業式の日…屋上で悠希と御池くんが話してるの聞いちゃったの」
意を決して、私は言葉を紡ぐ。
"あの日"から私が一歩踏み出せた瞬間だった。