これは絶対に恋じゃない



私のちょうど向かい側の席に、杖をついたおばあさんが座ろうとしていた。


しかし、


「お!ラッキー。ここ、あいてるじゃん」


「まじか!運いいなオレたち」


と、若干、無理やりに20代前半くらいの男性二人組がサッと座ってしまったのだ。


おばあさんに気づいていないのか、楽しそうに会話に花を咲かせる二人組。


その目の前では、杖をついたおばあさんが途方に暮れてキョロキョロ辺りを見回している。


あの人たち絶対気づいてるでしょ…


と、イラつきながらも


電車が動き出す前に席を譲らなきゃと思い、私がとっさに


「あの…」


と、声をかけた瞬間


「「…ここどうぞ」」


そう、私とほぼ同時におばあさんに向かって誰かが声をかけていた。