バッと、勢いよく教室を飛び出してきたのは…加恵だ。
しかし、なんとも間の悪いことに廊下にいた私はそんな彼女と鉢合わせしてしまう。
「……り、ん。いつから…」
私の姿を見た途端、なぜかサーッと加恵の表情から血の気が引いていくのがわかる。
「あ、あのさ、ほんと…たった今来たばっかりで…だから大きい声が聞こえてびっくりして教室入りづらくて…」
「…さっき…。そっか。ゴメンね…凜を驚かせるつもりなかったんだけど、ちょっとケンカしちゃった」
あはは、と、申し訳無さそうに笑う加恵は、もういつもの彼女。
「…大丈夫?加恵って、礼ちゃんと仲悪かったの?」
思い切ってそう尋ねてみても、
「んー?そういうわけじゃないんだけどさ…ちょっと、ね」
言いにくそうに口ごもる加恵に私はそれ以上何も聞けなかった。
さらに、
「…あのさ、凜。一緒に帰るつもりで待ってたんだけど…ちょっと、やっぱり…今日は1人で帰ってもいい?」
と、言う彼女に、私はただただ頷いて、去っていく加恵の後ろ姿を見送ることしかできなかった。



