「やっと寝れるー……」

「前日オール型か」

「そうそう。あかんってわかってんねんけどなー……」



うー、と小さな唸り声をあげる桜井。

ここ数日の桜井の目元には、寝てません!と言いたげなクマが居座っていた。



「今日は帰って寝ろよ、ちゃんと」

「んー……」



……本当に大丈夫か、これ。



「千速は?相川達とどっか行く?」

「ん?……や、今日は真っ直ぐ帰る」

「んじゃ途中まで一緒に帰ろ」

「おー」



ガタガタと、机を教室の後ろに下げる音が聞こえ始める。

どうやら掃除が始まりつつあるらしい。

その光景を見た桜井は、うへ、と情けない声をあげた。



「せっかくテスト終わったのに掃除かぁ」